タンゴの楽しみ方 その2「ピアソラを楽しむ」

「ピアソラを聴いてタンゴを好きになりました。」というかたが私のまわりには一番多いかもしれません。

ピアソラとは

アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)は作曲家でありバンドネオン奏者でもありました。
有名な曲では、リベルタンゴ、オブリビオン、アディオス・ノニーノ等があり、フィギュアスケートやTVなどでもたまに使われています。

日本では、チェリストのヨーヨー・マがリベルタンゴをCMで弾いたことによって有名になり、ピアソラとリベルタンゴが広く知れ渡ることになりました。

ピアソラは今となっては人気がありますが、昔はアルゼンチンでタンゴの破壊者と言われたり踊れないタンゴと言われたりしてその作風が世間に受け入れられない時期がありました。

そんなピアソラも駆け出しの頃は、当時人気のトロイロ楽団などで伝統的なタンゴを学んでいました。
そしてアレンジや作曲(クラシック)も熱心に勉強していました。
後に奨学金を得てフランスに行くほどなので、作曲を熱心に学ぼうとしていたことがうかがえます。

作曲を真面目に学んだピアソラだからこそ、ピアソラの作る曲は緩急・起承転結・ドラマチック・スリリングなど色んな表情の曲があり、人気を博した理由の1つだと思います。

ピアソラの楽しみ方

さて、やっと本題になるわけですが、1984年頃をピアソラの黄金期と呼ばれるのですが、その頃は5重奏で活動していました。
世界中を駆け回り、CDもたくさん録音され(ライブ録音が多い)、まずピアソラを聴こうと思ったらこの時期のライブ録音のCDをオススメします。

この黄金期の五重奏にいたるまで、色んな編成で活動していました。
細かい移り変わりは省きますが、

9重奏(コンフント・ヌエベ)
コンフント・エレクトロニコ
5重奏(黄金期)
6重奏

などがあり、それぞれの時代で面白さが全く違うので、黄金期をひと通り楽しんだ後はそれぞれの編成を楽しんでみることをオススメします。

私がはまった順番としては、
5重奏(黄金期)

9重奏

6重奏
です。

5重奏

バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノ、コントラバス、エレキギターからなるこの五重奏はピアソラの代表的な編成となりました。
1984年前後のCDだとこの5重奏になります(これ以前にも5重奏を組んでいた時期があります)。

一人だけ電子楽器のエレキギター。
はじめての方には『なんかハッチャケてそう』『ギュインギュインしてるん?』と思われるかもしれませんが、どちらかというとリズムやハモリなどのサポートにまわっていてあまり出しゃばらずいい味をだしています。

また、ジャズ界からピアニストのパブロ・シーグレルが加わったことでアドリブソロを弾く見せ場が作られるようになり、「ヌエボ・タンゴ(新タンゴ)」という新境地を開拓しました。

映像としては、モントリオールジャズフェスティバルのDVDがあるので、ぜひ観ていただきたいです。↓


Astor Piazzolla Live at the Montreal Jazz Festival [DVD]


東京のアストル・ピアソラ  Live
↑こちらは2枚組でたくさん聴けます。
ライブ録音のCDはいくつかありますが、同じ曲でもテンポが違ったりハッスル具合が違うので聴き比べも楽しいです。

9重奏 (Astor Piazzolla y su conjunto 9)

5重奏に+ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、パーカッションが加わります。
なのでストリングスの響きが増し優雅さも生まれるのですが、結構アグレッシブに動いたり、この時期にしか演奏していない曲もあるので、隠れ名曲の多い時期と私は勝手に思っています。

↑この動画は1983年なので5重奏で活動している時期ですが、このコンサートのために9重奏を組んでいます。後半はバンドネオン協奏曲やオケ版のアディオス・ノニーノが楽しめます。
会場は世界的に有名なコロン劇場。

6重奏

最後につくったこの編成は、5重奏のヴァイオリンがチェロに代わり、バンドネオンを2台に増やしました。
心臓を患ったピアソラの負担を減らす為と言われていますが、がっつりピアソラメインに弾いてます笑
ヴァイオリンがチェロに変わったことで弦の高音の響きがなくなり全体的に低音よりの渋いサウンドになっています。
私がこの編成を聴いた当初は『パッとしないな〜』という印象がありましたが、よくよくじっくり聴くとその渋さやバンドネオン二台の絡み合い、攻める選曲、6重奏での新曲(Luna, Sex-tet,他)にはまり、一時期はずっと聴いていました。

コンフント・エレクトロニコ

コンフント・エレクトロニコは、新しく多くの電子楽器での編成に挑戦した編成です。
シンセ、エレキギター、エレキベース、ドラムにオルガンやフルート等とピアノ、バンドネオンといった編成で(時期により多少変わる)、リベルタンゴはこの時期に作曲されました。

ピアソラを聴く時の注意点

ピアソラを聴きはじめる場合は(他の作曲家にも言えることですが)、本人の演奏のCDをまずは聴くようにしてください。
タンゴの楽しみ方その1でも書いたように、タンゴはアレンジを楽しむという一面があるのですが、ピアソラの曲に関してはもう完成されているといってもいいくらいで、本家より良いアレンジにはあまり出会いません。
変な印象を持たれるのも困るので、そこは注意して聴いていただければと思います。

色々Youtubeのリンクやアマゾンのリンクを張りながら紹介しようと思っていましたが、どれを選ぶのがいいのか悩んでしまうので、それはそれでまた別記事にしたいと思います。

最後に

ピアソラといえばリベルタンゴが一般的には有名なのですが、上記であげた一連の流れを探求したあとに自身の中でのリベルタンゴはランキング何位なのかと問うと、ベスト10にも入っていないのではないでしょうか。
それくらいピアソラには素晴らしい曲がたくさんあるのです!!
ピアソラといえばリベルタンゴ、もしくはタンゴといえばリベルタンゴしか思い浮かばないという方は、ぜひピアソラを少し掘り下げてみてはいかがでしょうか。

オススメの本のご紹介

アストル・ピアソラ闘うタンゴ 

これはピアソラの辞書のようなものです。
こちらの記事でも紹介しましたが、ピアソラが生まれてから亡くなるまでにどんな活動をしていたのか、誰と交流があったのかなど詳細に書かれています。
また、曲目リストやCDのリスト、ピアソラ自身が録音していない曲(誰かのために書いた曲やクラシックの曲など)のリストなど貴重な資料もあり、ピアソラ好きは一家に一冊の本です。

あと、12月にはピアソラのドキュメンタリー映画も公開されるようですね。楽しみです。
紹介記事はこちら。