吹奏楽におけるコントラバスの役割 その3

楽器のメンテナンスについて書きたいと思います。
※この記事のシリーズは、基本的に中高の吹奏楽部のコントラバスの生徒さんや顧問の先生に向けて書いています。

弦高問題

まずは、とても声を大にして顧問の先生方にお聞きしたいことがあるのですが、
コントラバスの弦高が高すぎることはないでしょうか?
つまり弦を押さえるのしんどくないでしょうか?

弦高というのは、弦から指板(弦と平行にある黒い板)までの高さのことで、つまり押えこむ距離になります。
この弦高が高いと、指板まで弦がとどかずただ振動を止めているだけになり、いい音が鳴らないです。
また、音程も低くなってしまうので、それを補うために正しいポジションよりも高めの位置を押さえてプラマイゼロにしようという悪い癖がついてしまいます。

まずは大人の顧問の先生が左手で弦を押さえてみてずっと押さえてられるかチェックしてみてください。
例えば下のシ♭を人差し指で、次に中指でシ、小指でド。
大人の方で指板にずっと弦をつけていられなければ、中高生には絶対無理です。

この弦高問題、改善のためにチェックする項目が4つあります(職人さん的にはもっとあるのかもしれませんが)。

  1. 指板に反りがないか
  2. 弦高が高くないか(=駒の溝が浅くないか)
  3. 弦高が高くないか(=枕の溝が浅くないか)
  4. 弦が古くないか

です。

1.指板に反りがないか

弦高の高さは、指板の下の端っこから弦までを定規を当てて測ります。

G線=約7.5mm
D線=約8mm
A線=約8mm
E線=約8.5m

が私の楽器の弦高です(ちょっと低めの設定です)。

ただし、メンテナンスされてなく弦高が高い楽器は、指板も反り返ってしまっている場合がほとんどです。

なので、指板の端では丁度いい高さでも、実際押さえるところではもっと距離があることになります。

まずは指板が反っていないかチェックしてみてください。
チェック方法は画像のようにヘッド側から見るとよく分かります。

2.弦高が高くないか(=駒の溝が浅くないか)

 

弦の高さは2箇所チェックする必要があり、まずは弦高を測る場所に近い駒の溝をチェックです。

指板が反っておらず、弦高を測ってみた結果が高ければ、この溝を削れば改善さると思います。

3.弦高が高くないか(=枕の溝が浅くないか)

見落としがちなのが枕の溝です。
枕とは楽器上部の指板の端で、弦が出てきている部分です。
ここの溝が浅いと一番上のポジションがとても押さえ辛いのです。

吹奏楽ではシ♭、ミ♭、ラ♭などフラット系が多く出てきますが、コントラバスは運悪く、この一番上のポジションにその3つの音があります。

なので弦高の高さといえば駒ばかり注目してしまいがちですが、一番上のポジションがしんどい場合は枕の溝の調整が必要です。

4.弦が古くないか

弦は大体1年に1回張り替えます。
弦が古いとチューニングの時に音程が合いにくかったり、響きが減ったりしますが、弦が硬くもなっていきます。

弦が硬いと必要以上に押さえる力もいりますので、安いものでもいいので張り替えましょう。


弦高は高い方が音量が出ると一般的に言われますが、部活においては音量よりも生徒さんの弾きやすさを優先すべきだと私は思っています。

弦高が高い楽器は本当に地獄です。
心折れますし、コントラバスを弾くことが憂鬱にすらなります。

私は高校からコントラバスを始めましたが、その時にこういう楽器に当たっていたら、今楽器は続けていなかったと思います。

コンクールで金賞を取るために少しも妥協したくないという気持ちも分からなくもないですが、多少音量が減ったとしても押さえやすくて楽しんで弾けるような楽器の調整が学生には必要だと思います。

子供にはたくさんの可能性が秘めています。
もしかしたら100年に1人のコントラバスの素質を持つ子が、メンテナンスのされてない楽器に出会ったせいで嫌いになってしまう可能性があります。

色んな物事や世界を学ぶ場が学校や部活だと思うので、コントラバスの楽しさ、弦楽器の心地よさ、音楽の素晴らしさに浸れるような環境に学生のためにしていただけたらと思います。

金額は楽器店や工房にもよりますが、駒を削るだけで済むのか、枕も削る必要があるか、指板の反りも直すか、弦も交換するかによっても変わってきます。

次回は、気持ちの面でとても大事なことを書きたいと思います。
私自身この考え方で壁を乗り越えられた時があります。

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最後に、一度もコントラバスのレッスンを受けたことのない方や、教本がなくて扱いが分からないという方のために、普段の手入れの仕方など基本的なことを思いついただけ書いておきます。

  • 弓の毛は、fで弾いた時に木の部分が弦に擦らない程度に張ります(張りすぎの人が多い)。
  • 松ヤニは角をしっかり毛に押し当てて、つけすぎかな?と思うくらいしっかりはじめはつけましょう。弾いている最中に弓が止まるほどついた場合は、弦についた松ヤニを拭き取ります。毛は拭かないように!
  • 楽器を置くときは、構えた時に左の側面が下になるように置きます。
  • 楽器をしまう時は、タオルを2枚用意し、1枚は手汗用で、弦の押えていた部分や弓の持っていた部分を拭きます。もう一枚は松ヤニ用で、弦についた松ヤニや、弓のさおの部分についた松ヤニを拭き取ります。毛は拭かないように!
  • 弓の毛は触ったり拭いたりしてはいけません。手汗やゴミがつくと松ヤニののりが悪くなり、安定した音が出なくなります。
  • しまう時は、弓の毛を緩めます。
  • 楽器の弦は緩めずにそのままケースにしまいます。たまに運搬の時などは弦を緩めた方がいいですか?という質問を受けますが、絶対ダメです!
    楽器の中に魂柱という柱が駒の足元に立っているのですが、それが倒れる危険があり、倒れると修理に出すことになります。
    楽器の左側を下にして置く理由もこの魂柱のためです。